2016年5月25日水曜日

【メディア掲載】稲場雅紀さん=市民サミットを成功に導いた「動く→動かす」事務局長(5/25、毎日新聞)

▼稲場雅紀さん=市民サミットを成功に導いた「動く→動かす」事務局長
2016年5月25日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160525/ddm/008/070/100000c

稲場雅紀(いなば・まさき)さん(47)
 「社会的弱者の声を各国首脳に届けることが我々の役割だ」

 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、国内外の市民団体が参加した23、24両日の「市民サミット」(三重県内で開催)。国際協力のNGOネットワーク「動く→動かす」(東京)事務局長として運営に携わり、各国政府に対し、諸問題で市民との連携強化を求める政策提言を行った。

 運動の原点は、世の中がバブル経済に浮かれていた1980年代末の学生時代にさかのぼる。高度成長を支えてきたのに野宿を強いられ、病気でも治療を受けられない人たち−−。日雇い労働者の街、横浜・寿町で支援活動に参加し、社会の矛盾を目の当たりに。「困っている当事者が立ち上がり、権利を主張しなければだめだ」と痛感した。

 その後、自身がゲイ(同性愛者)だったことから、性的少数者の人権問題やエイズ問題に取り組んだ。これが途上国支援団体幹部の目に留まり、活動範囲はアフリカへ広がる。

 大手製薬会社の特許権でエイズ治療薬が高騰し、生きられる人が次々と死んでいく。「人命より、経済の論理が優先されるのはおかしい」。背景に貧困など幅広い問題があると考え、2009年には「動く」を発足。各団体の力を結集し、政策提言を続けている。

 世界の貧困層を搾取し、負担を押しつけた結果、今の豊かな日本があると思う。「日本の市民もこの『債務』に対し、責任をとるべきだ」<文と写真・町田結子>

 ■人物略歴

 京都生まれ、東京大文学部卒。「アフリカ日本協議会」の国際保健部門ディレクター、慶応大非常勤講師を兼務。