富山)G7環境相会合、15日開幕 各国代表団が視察
2016年5月15日 朝日新聞 松原央 吉田真梨
以下に全文を転載します。
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富山)G7環境相会合、15日開幕 各国代表団が視察
2016年5月15日 朝日新聞 松原央 吉田真梨
雪の大谷で記念撮影をするカルメヌ・ヴェッラ欧州連合委員(右から3人目)ら=立山町芦峅寺
主要7カ国(G7)環境相会合が15、16日に富山市で開かれるのを前に、各国の代表団や丸川珠代環境相が14日来県し、室堂平(立山町芦峅寺)の雪の大谷など県内各地を訪れた。富山市内でも、市民団体などがフォーラムを開催し、約150人が環境問題への理解を深めた。
県などが主催した立山方面への視察ツアーには、カルメヌ・ヴェッラ欧州連合(EU)環境担当委員らEUとアメリカの代表団から9人が参加。立山カルデラ砂防博物館(立山町芦峅寺)で常願寺川流域の砂防事業の歴史を学んだ後、高さ約11メートルの雪の壁が残る室堂平を訪れた。
好天に恵まれ、冠雪が残る立山連峰の景観と立山黒部アルペンルートを挟んでそびえ立つ雪の壁を前に、参加者が互いに記念写真を撮り合う姿が見られた。
ヴェッラ委員は、「この雄大さは体験してみないとわからない。日本は経済や政治だけでなく、自然や多様な生態系にも恵まれた国であり、その環境を守るために多大な努力をしてきたことを学んだ」と話した。
フランスやイギリスなどの代表団の計12人は、高岡市の瑞龍寺と金屋町を訪れた。丸川環境相は、富山市の富岩運河環水公園で行われたサクラの植樹式に石井隆一知事らと参加した。
15日からの環境相会合では冒頭で、丸川環境相が東日本震災からの復興や福島第一原発事故後の除染と避難区域解除の進捗(しんちょく)状況について説明する。
ごみの減量(リデュース)や再利用(リサイクル)などを進める「資源効率性・3R」をテーマにしたセッションでは、循環型社会を実現するために各国に大胆な取り組みをうながす「富山物質循環フレームワーク」の合意に向けた議論が行われる。(松原央)
■フォーラム、市民も関心
富山市安住町の県総合福祉会館では、環境市民ネットワーク「アースデイとやま」主催のフォーラムが開かれた。森林ボランティア「草刈り十字軍」創始者の足立原貫さんの対談と詩人アーサー・ビナードさんの講演に来場者が耳を傾けた。
足立原さんは、以前から親交のあったイタイイタイ病を語り継ぐ会代表の向井嘉之さんと意見を交換。草刈りを始めた理由について、足立原さんは「高度経済成長期の中で、土から遠ざかる暮らしへ違和感を抱いたから」と説明し、活動から得た独自の環境への考えを語った。強いものが弱いものを守る「保護」という言葉が環境に対して使われていることに異議を唱え、「地球が危ない」のではなく「人類が危ない」という思想の転換が必要と力強く話した。そして、環境を良くしていくには科学ではなく、「どう生きるか」という哲学こそ重要と述べた。
環境汚染や生物多様性など四つのテーマに分かれた分科会もあった。参加者は、環境問題に取り組むNPO法人の代表や大学教授の話を聞いた後、市民から未来の子どもたちのために今できることをテーマに「環境市民宣言」の作成に取り組んだ。(吉田真梨)